活動報告
Report
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2015年12月10日
魅力溢れる世界の中心都市名古屋
~ NAGOYAブランドの世界への発信を目指して ~
目指すべき名古屋の未来像:
名古屋のまちは、先達より連綿と受け継がれた伝統産業と、志高い若き起業家がつながり、地域資源を活かした新たな産業が展開されることにより、まちと企業とが活力に満ち溢れている。
名古屋のまちは、人・もの・情報が行き交う世界の中心都市として、国際ビジネスを牽引しており、個性豊かな地域産業の展開する「NAGOYAブランド」が名古屋の魅力を発信するグローバルリーダーの活躍によって広く世界に認知されている。
未来に向けた運動指針:
一. 名古屋青年会議所は
活力溢れる未来世代の若き起業家の発掘と積極的な育成に取り組む。
伝統産業の継承とさらなる成長に尽力する。
地域資源を活かした魅力溢れる新たな産業をブランディングし、世界へ展開する。
一、 名古屋青年会議所は
国際ネットワークを活用し、世界各国の人々と活発な歴史・文化・教育交流を行う。
未来のまちのグランドデザインを描き発信する。
名古屋と世界を結ぶグローバルリーダーを積極的に育成し、地域産業を軸とした世界に誇るNAGOYAブランドを発信するプラットフォームとなる。
日本を支える名古屋ビジョンの解説
【策定経緯】
2020年には東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、2027年には東京・名古屋間でリニア中央新幹線が開通予定であるなど、近い将来に名古屋は大きな節目を迎える。
まずは、それらを踏まえて、名古屋の未来像について担当委員会(2015年度財務委員会)にて研究をし、別紙1のとおり、その方向性を委員会研究結果として明らかにした。
次に、現役会員を対象に、「名古屋の産業について誇りに感じ未来に伸ばす点」と「名古屋のまちのグローバル化を推し進める上で重要である点」についてアンケートを実施し、別紙2のとおり、集計した。
そして、杉浦卓2015年度理事長に「理事長所信に込められた名古屋のグローバル化について」「名古屋の産業の発展について」「日本を支える名古屋のまちの近未来像について」について、別紙3のとおり、インタビューを実施した。
以上の委員会研究結果、アンケートの集計結果及び杉浦理事長へのインタビュー結果を基に、各特別委員長・委員長に協力を求め、名古屋ビジョンの運動方針の素案を提供してもらい、これらの内容を踏まえて、常任理事座談会を開催した。名古屋青年会議所の根幹を支え未来を担う常任理事より、別紙4のとおり活発な意見を得た。
最後に、以上のすべてのデータを基に、目指すべき名古屋の未来像と未来に向けた運動指針を「日本を支える名古屋ビジョン」として策定するに至った。
【解説】
◆未来像 :
名古屋のまちは、先達より連綿と受け継がれた伝統産業と、志高い若き起業家がつながり、地域資源を活かした新たな産業が展開されることにより、まちと企業とが活力に満ち溢れている。
運動指針:
活力溢れる未来世代の若き起業家の発掘と積極的な育成に取り組む。
伝統産業の継承とさらなる成長に尽力する。
地域資源を活かした魅力溢れる新たな産業をブランディングし、世界へ展開する。
魅力溢れる名古屋の産業としては、トヨタ自動車の自動車産業、三菱のMRJに代表される航空機産業など大企業が注目されがちだが、高度経済成長期に日本の産業を支え発展した中小企業の魅力を再認識する必要がある。名古屋には、大企業のみならず陶磁器・繊維・機械・電気・食料品に至るまで、幅広い産業を擁しており、その経済規模は全世界の1%を締めるほどである。そのため、他地域と比較して地域内充足性が高く、上記上場企業や安定企業が多くあることも相まって、名古屋人気質とも言える閉鎖的気質を生み出している。その結果、名古屋の中小企業は、対外的に自社の魅力を十分にアピールできていない企業が多く存在する。また、名古屋における若い世代が、名古屋の魅力溢れる産業について良く知っているとは言い難い状況にある。
名古屋には、有松・鳴海絞りや名古屋友禅に代表される伝統産業が数多く存在し、それら伝統産業は、職人の手によって古くから脈々と受け継がれてきているが、現在では、その後継者不足が深刻な課題となっている。
名古屋の伝統産業を維持するとともに、中小企業の魅力を十分に発信するためには、次世代以降の志高い若き起業家が、伝統産業や地場産業と結び付き、名古屋に存在する数多の地域資源を最大限に活用した新たな産業を展開する必要がある。このようにして伝統産業の後継者不足を解消するとともに名古屋の中小企業の魅力を対外的に最大限アピールすることで、まちと企業が活力や希望に満ち溢れることとなる。
名古屋青年会議所は、未来を見据えてまちの産業に誇りと自信を持って活動する若手起業家を発掘・育成するとともに、伝統産業の継承とさらなる成長に尽力していかなければならない。そして名古屋のまちの地域資源を活かした魅力溢れる新たな産業をブランディングし、世界への展開を目指すことで、個性溢れる名古屋産業の成長・発展を後押しし、その魅力を大きく発信していくべきである。
◆未来像 :
名古屋のまちは、人・もの・情報が行き交う世界の中心都市として、国際ビジネスを牽引しており、
運動指針:
国際ネットワークを活用し、世界各国の人々と活発な歴史・文化・教育交流を行う。
未来のまちのグランドデザインを描き発信する。
2020年、東京オリンピック・パラリンピックが開催される。名古屋から離れた都市ではあるものの、開催にあたっては国内外から多くの人・もの・情報の流入が予想される。また、2027年の東京・名古屋間でリニア中央新幹線の開通によって、近未来の名古屋を取り巻く環境にさらに大きな変化をもたらすことは確実であり、閉鎖的といわれる名古屋人気質から、グローバルな変化への対応に遅れが生じ、成長の機会を逃してしまう可能性がある。名古屋青年会議所は、当事者意識を持って準備するとともに、東京の近隣大都市として東京オリンピック・パラリンピック開催後をカラーでイメージし、行動に移すことが必要である。
こうしたオリンピック・パラリンピックに代表される世界規模のイベントの開催や、国内各都市間の相互協力関係に変革をもたらすほどの交通網の整備、青年会議所が有する世界規模のネットワークの活用を通じ、名古屋のまちは成熟したグローバル都市へと近づいていき、世界各国の人々と、より多くの歴史・文化・教育交流を持つこととなる。名古屋青年会議所は、JCIを通じた世界規模のネットワークを活用し、積極的に世界各国と活発な歴史・文化・教育交流を図っていく必要がある。例えば、世界会議・ASPAC等世界規模のJCIの会議を名古屋の地に誘致し、そのような世界との交流の中で、魅力溢れる名古屋の良さを伝えていくことも有効な手法であろう。
そして、名古屋やその近郊地域は、多数居住する外国人労働者により生産活動が営まれている現状からも分かるように、外国人労働者にとっても働きやすく、住みやすい地域である。外国人労働者の積極的な雇用は、名古屋をより成熟したグローバル都市として世界へ発信するための大きなポイントとなるだけでなく、国内における喫緊の課題である少子高齢化による労働生産人口の減少に対する施策の一つとなる。
このように、諸外国の人が安心して永続的に暮らす国際都市として、歴史・文化交流の機会を増やし、海外留学や、ものづくり技術を生かした海外企業の誘致等の国際教育交流を積極的に図ることで、名古屋は、人・もの・情報が集積する世界の中心都市となる。
また、人的交流というソフト面がある一方、名古屋のまちのグランドデザインというハード面に目を向けると、都市と緑が一体化した景観、観光地となりうるウォーターフロント、複数の私鉄をメインとした交通インフラの再整備、産業だけでなく学術都市としてのアピールなど、名古屋のまちは大いなる可能性を秘めており、ハード面におけるまちの未来のグランドデザインを描き、発信していかなければならない。
◆未来像 :
個性豊かな地域産業の展開する「NAGOYAブランド」が名古屋の魅力を発信するグローバルリーダーの活躍によって広く世界に認知されている。
運動指針:
名古屋と世界を結ぶグローバルリーダーを積極的に育成し、地域産業を軸とした世界に誇るNAGOYAブランドを発信するプラットフォームとなる。
幅広い産業を擁する名古屋は、ものづくり産業のまちとして発展してきた歴史を持ち、これまで培ってきたものづくりのノウハウと、日本の中心に位置する地の利を活かすことで、国際ビジネスにおける中枢機能の集積が期待できる。名古屋にはグローバルに活躍する企業、無借金経営を続ける企業、創業100年以上で地元に愛され続ける企業が多数ある。そのような企業がなぜ名古屋に集まっているのか、そして、地域産業を軸としたNAGOYAブランドを発信していくことが重要である。また、海外への情報伝達のアプローチにおいて、名古屋で暮らす我々が自信を持って「名古屋のここが凄い」と言える土壌があるか疑問であり、この課題を解消するために、歴史・文化・産業に至るまで名古屋のまちに関わり、多方面に考察を広げるとともに、グローバルな視点を交えて運動を続けていく必要がある。
名古屋青年会議所は、名古屋の歴史と伝統に誇りを持ち、多様な文化を受け入れながら発展するまちの魅力を世界に発信していくグローバルリーダーを育成し、個性豊かな名古屋の地域産業が世界に誇るNAGOYAブランドとしてブランディングされ、広く世界に認知されるよう発信するプラットフォームの役割を担うことが重要である。
以上
別紙1
【名古屋の歴史・現在】
我々が住まう名古屋は、中世以前から熱田神宮を中心に栄えていた熱田のまちと、徳川家康によって築かれた名古屋城及びその城下町が骨格となり、交通の要所として栄えたまちである。また、織田信長や豊臣秀吉等の豪傑を多く生み出した、世界に誇れる歴史あるまちである。
明治維新後には、運河や鉄道等のインフラが整備されるとともに、産業が著しい発展を遂げ、名古屋は、近代的な産業都市へと大きな進化を遂げた。その後は第二次世界大戦による戦災や伊勢湾台風などの天災の被害に見舞われるが、それらを乗り越えて、世界に名だたる産業文化都市として、現在も発展を続けている。
地理的には、東京と大阪の中心に位置するとともに、日本の国土のほぼ中央にあって、日本各地へ移動するには高い利便性を有し、また、伊勢湾・濃尾平野・木曽三川など、豊かな自然環境に恵まれた土地である。そして、名古屋市における2015年4月1日現在の推計人口は、総数約227万人、世帯数は104万世帯を擁する大都市である。
以上のとおり、名古屋は、世界に誇れる歴史・産業・環境を有する、大いなる可能性と将来性を秘めた、日本有数の大都市であると考える。
【近未来の名古屋】
2020年に、東京オリンピック・パラリンピックが開催され、東京・名古屋・大阪の「三大」から、東京の「一強」の感が強まるが、名古屋においても海外より多くの観光客が訪れ、インフラ整備の進展とともに、オリンピック・パラリンピック特需による経済の活性化が予測される。また、2025年に、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる(いわゆる2025年問題)。団塊の世代と呼ばれる1947~49年(広くは51年)生まれは、約700万人(広くは1000万人超)と多く、若年層世代の負担は益々増加することが予測される。そして、2027年には、リニア中央新幹線の、東京(品川)・名古屋間が開業することとなる。
【名古屋の課題】
名古屋の課題として、まず、少子化問題の止まる気配がない。これは、10年後の名古屋においても同様であると考えられる。次代を担う子供を安心して生み、育てることができる環境をつくる等、急速な少子化をこれ以上進行させないための名古屋のまちの取組みが求められている。
また、高齢化社会は加速を続けており、団塊の世代が後期高齢者となる10年後においては特に、現役世代の負担増や雇用介護労働者の不足等の問題が浮き彫りとなる。このような課題を解決するためには、外国人労働者の増加を見据えたグローバル化を進める等の老いも若きも安心して住み続けられる名古屋のまちの構築が必要である。
さらに、リニア中央新幹線開通時には、いわゆるストロー効果が懸念されている。名古屋圏は東京圏の通勤圏の一つとなるため、人口減少の恐れがある。しかし他方で、名古屋で暮らしながら東京勤務が可能となり、企業としても東京に本社機能を持たせる意味が薄まるとも考え得る。名古屋が世界に誇る自動車産業・航空宇宙産業というものづくり産業のさらなる活性化を図り、まちとしての魅力を増やし、若者雇用を一層増加させるまちづくりが必要である。
【魅力溢れるまち名古屋の重要性】
名古屋が世界に誇る自動車産業・航空宇宙産業等のものづくり産業の強みを生かしたまちづくりや、日本の中心に位置するという地理的優位性を生かした日本各地及び世界と人・もの・情報が交流するグローバル都市化によって、東京オリンピック・パラリンピックの開催やリニア中央新幹線の開通に伴い、関東圏・関西圏・海外からの移住者という多くの人口の流入が期待でき、少子高齢化を解消できる。また、グローバル化について名古屋を中心とした地域で推し進めれば、より大きい効果が期待でき、地域再興の一助となる。
【目指すべき方向性~日本を支える名古屋ビジョンとは】
近未来において、名古屋を起点に東西に展開できる強力な武器となるリニア中央新幹線開通を機に、名古屋が単なる通過点ではなく、人や文化を発信する中心地となるよう、これまでの研究によって確認された、今ある名古屋の魅力を、より一層深める取り組みを加速させる必要がある。
そこで、名古屋青年会議所2015年度財務委員会は、「日本を支える名古屋ビジョン」について、以下の2つのまちの未来像を元に名古屋青年会議所の運動指針を構築することを提案する。
一.個性溢れる産業のまち名古屋
一.グローバル都市名古屋
以上
別紙2
現役会員アンケート集計結果
設問 | あなたは、名古屋のまちの産業でどの点を誇りに感じ、未来へ伸ばすべきだと思いますか。 | ||
No. | 選択肢 | 回答数 | 割合 |
1 | 名古屋の産業の歴史 | 63 | 23.60% |
伝統産業 | 44 | 16.48% | |
まちに根付いた産業 | 61 | 22.85% | |
社会企業家の存在 | 18 | 6.74% | |
日本人の精神性 | 38 | 14.23% | |
経営者の意識の高さ | 18 | 6.74% | |
その他 | 7 | 2.62% | |
名古屋の産業に誇りを感じない | 18 | 6.74% | |
計 | 267 | 100% |
■名古屋の産業について誇りに感じ未来に伸ばす点の意見まとめ
【名古屋の産業の歴史】
【伝統産業】
【まちに根付いた産業】
【社会企業家】
【日本人の精神性】
【経営者の意識の高さ】
【名古屋の産業に誇りを感じない】
設問 | あなたが名古屋のまちのグローバル化を推し進めるために重要であると思うものを1つお選び下さい。 | ||
No. | 選択肢 | 回答数 | 割合 |
3 | グローバルリーダーの存在 | 57 | 22.09% |
世界を見据えた対内情報発信 | 29 | 11.24% | |
近隣他国の人との文化交流 | 55 | 21.32% | |
世界規模のネットワーク | 35 | 13.57% | |
名古屋の歴史教育 | 43 | 16.67% | |
海外研修経験の共有 | 20 | 7.75% | |
その他 | 14 | 5.43% | |
名古屋のグローバル化を推し進めるべきでない | 5 | 1.94% | |
計 | 258 | 100% |
■名古屋のまちのグローバル化を推し進める上で重要である点の意見まとめ
【グローバルリーダーの存在】
【世界を見据えた対内情報発信】
【近隣他国の人との文化交流】
【世界規模のネットワーク】
【名古屋の歴史教育】
【海外研修経験の共有】
【その他】
【名古屋のグローバル化を推し進めるべきでない】
別紙3
杉浦理事長インタビュー
1 理事長所信に込められた、名古屋のグローバル化について
Q.2020年に東京オリンピック・パラリンピック、そして2027年リニア中央新幹線の開通を控え、近未来の名古屋のまちは、さらなるグローバル化の波を受けることが予見されますが、杉浦理事長がお考えになる理想的な名古屋のまちのグローバル化について、お聞かせ下さい。また、理想的なグローバル化において、有効だと思われる施策はどのようなものがありますでしょうか。
A.まず、2020年東京オリンピック・パラリンピックについて、我々名古屋市民が如何に当事者意識を持って迎えるかが重要になってくるかと思います。残念ながらどこまでいってもオリンピック・パラリンピックは都市開催であり、東京での開催です。しかし、今後多くの外国人観光者が増えることが予想される中で、「東京の隣の大都市」として如何にアピールし、外国人観光者を名古屋の地に迎え入れるかが重要になってきます。いうならば、一人ひとりの市民や企業が、今回オリンピック・パラリンピック開催を絶好の機会と捉え、開催後をカラーでイメージして行動することが肝要だと思います。
これは、7年後のリニア開通にも大きく影響を及ぼすと思います。オリンピック開催時に名古屋のまちに触れてもらい、名古屋の魅力を感じていただき、その7年後、東京に再訪していただければ、40分で名古屋に着けるまちに進化しています。リニア開通についてはストロー化現象等のリスクが叫ばれておりますが、名古屋が、リニア東京・大阪間の開通する期間までを如何に有効活用するかによって、結果は大きく異なるでしょう。
以上のことが想像される中で、理想的な名古屋のまちのグローバル化に必要なことは、国際教育交流、外国人の積極的な雇用、私鉄をメインとした交通インフラの再整備が必須になってくるのではないかと感じます。国際教育交流については、文部科学省が提唱している海外留学やものづくり技術を生かした海外企業の誘致を含め積極的に受け入れる体制や施策を展開していくべきだと思います。外国人雇用については、名古屋だけではなく国家全体の問題でありますが、少子化が続くと想像される中、労働者雇用の観点から避けては通れない問題です。移民受入れについての持論はここでは避けさせていただきますが、一定の条件をクリアした労働者を積極的に雇用していくことは、ものづくりのまちとして、将来的に他の都市との差別化を図る上で、重要な施策であると考えます。最後に、インフラ再整備についてですが、我がまち名古屋は、自動車による移動がメインということもあるかもしれませんが、これだけの規模の都市に私鉄が1本しかないということは、大きな問題といえるのではないでしょうか。また、現状の交通インフラについても、未だに地下鉄が整備されていない地域も多々存在します。成熟社会に突入していく今こそ、名古屋のまちのグランドデザインを今一度再考する必要があると感じます。
2 理事長所信に込められた、名古屋の産業の発展について
Q.名古屋は、製造業の拠点としてのイメージが強いですが、世界的に見ても有力な製造業を含む個性溢れる名古屋の産業の発展について、今後さらなる発展を遂げるために、名古屋はどうあるべきとお考えでしょうか。また、名古屋の産業のさらなる発展において、どのような行動が必要だとお考えでしょうか。
A.はじめに、名古屋というまちの特徴についておさらいをしたいと思います。名古屋というより愛知県という観点に広がるかもしれませんが、工業出荷額に関しては首都東京を遥かに凌ぎます。また、トヨタ自動車を中心とした自動車産業だけでなく、セラミックや航空機産業等の先端分野や陶磁器・繊維・機械・電気・食料品に至るまで、幅広い産業を擁しており、その経済規模は全世界の1%を占めるほどの中心的な主要都市なのです。こうしたことから、地域内充足性が他地域に比較して高く、かつ上場企業や安定企業が多くあるため、名古屋人気質とも言える閉鎖的気質を生み出していると考えます。
このような名古屋の今後のさらなる発展に向けては、これら既存の強みを最大限に活かしていくことが必要不可欠だと思います。簡単にいえば、選択と集中だと思います。ものづくりから脱却して観光都市を目指す等の方向性ではなく、これまで培ってきたものづくりのノウハウと、東京と大阪の間に位置する地の利を活かした国際ビジネス中枢機能を集積する方向性で舵を切っていくべきと考えます。また、他の都市に比較して多くの老舗企業が存在しますが、その企業の後継者問題は深刻な問題です。長年培われてきた技術の後継と志高い若者を積極的につなぎあわせることで、活力溢れるまちと企業を生み出していくことが重要だと思います。
3 杉浦理事長の描く、日本を支える名古屋のまちの近未来像について
Q.近い未来において、成熟した他の都市と比べ、名古屋のまちはどのような可能性に満ちているでしょうか。
A.まず、名古屋が成熟都市か非成熟都市かということは別として、東京・大阪さらには海外の有名都市と比較して、「まだまだやれることが沢山ある」という点で可能性に満ちていると思います。名古屋のまちにニューヨークのような都市と緑が一体化した公園があるでしょうか。横浜やお台場、神戸のようなお洒落なウォーターフロントはあるでしょうか。市内全域に私鉄が複数配置されているでしょうか。まだまだやれることは沢山あります。こうした観点から、将来のまちづくりを想像すると、名古屋というまちは手つかずの宝の山に見えて仕方がありません。ものづくりという類い稀な技術の蓄積とリニアや国際空港といった「地の利」に加え、名古屋人気質と馬鹿にされつつも強い仲間意識を有する「人の和」。ここにタイミングといえる「天の時」が合わされば、大きく変化をすることができる可能性が大いに満ちていると思います。
Q.日本を支える名古屋であるために、名古屋のまちの魅力について、率直な想いをお聞かせ下さい。
A.名古屋に生まれ名古屋に育った私にとって、名古屋の魅力とは「住み易さ」だと思います。俯瞰的に見て、企業数も多く、交通インフラも整っており、レジャーにしてもビジネスにしても不便なものは少ないように感じます。しかし一方で、すべてが「一般的」なレベルで「日本に誇れるなにか」が少ないということも事実かと思います。いわば「適度な田舎」が名古屋の魅力だと思うのです。すべてにおいて便利だけど少し物足りない。この歯痒さも名古屋の魅力であり可能性だと感じます。
以上
別紙4
常任理事座談会意見まとめ
①「個性溢れる産業のまち名古屋」
・トヨタ自動車やMRJの三菱など、大企業だけでなく名古屋のものづくり産業を支えているのは中小企業であることを発信していくべき。
・名古屋青年会議所がものづくり産業のまちを発信していく必要がある。
・中小企業による自社ブランドの開発により企業の力を高めていくべき。
・名古屋の企業は、ブランディングが上手いとは言えず、守りに入る企業が多いため、ブランディングされた名古屋の企業を世界への発信する必要がある。
・まちの力の根底・魅力をJCとして発信していく必要がある。
・グローバル企業・無借金企業・100年以上続く企業がなぜ、このまちに集まっているのかを、JCとして発信していくべきである。
・名古屋は、中小企業が多く、職人のまちではないかと思う。そのために発信することが不得手であるため、何社か集まって、何か新しいブランド的なものをつくり上げて、それを名古屋青年会議所が後押しするという形が良いと思う。
・伝統産業についても、上手く発信できていない。
・名古屋の文化はこんなに良い文化ですよということが伝え切れていないのだから、名古屋ブランドを立ち上げて、青年会議所として、名古屋にこんな良いブランドがあるということを発信していくことが一番の近道かと思う。
・名古屋は外国人にとって非常に働きやすい環境があり、そういったまちの魅力も発信していくと良い。
・名古屋人は、信頼できる人とのつながりを大切にするあまり、名古屋地域以外の人に対して閉鎖的であり、今までは外に広げる必要はなかったが、時代の変化に伴い、マーケットを広げる必要が出てきたと思う。
・名古屋の産業のアイデアを広めていくことが重要である。
・子供たちに名古屋の中小企業の魅力を知ってもらう機会を提供するべきである。
・名古屋人は名古屋に対していわゆる自虐史観があり、十分に自信が持てていない。ブランディングをするためにも、まずは若い世代に名古屋の素晴らしさを知ってもらい、名古屋に誇りと自信を持って活動できるような環境づくりをすることが重要である。
②「グローバル都市名古屋」
・世界ではまだ、名古屋という都市自体を知らない人が多く、JCとしての世界との国際交流を通じて、名古屋というまちを発信していくべきである。
・世界に誇るべきまち名古屋を発信する手段として、青年会議所における世界会議やASPACの誘致を検討するべきである。
・対外に向けた情報発信・人的交流を行うべきである。
・ビジネスマッチングを活用した国際交流を推し進めるべきではないか。
・学術都市としても世界に代表する大学がないことが残念であり、名古屋に世界に通じる大学が必要である。
・名古屋のものづくり産業の魅力を国内外に向けて発信するべきである。例えば現在ものづくりを教える高校をつくっているが、良い一例ではないか。
・名古屋は凄いと自信を持って言えるプライドが重要であり、これを発信することが青年会議所の役割である。
・名古屋は豊かで、守られているから、起業する人が少ないのではないか。
・名古屋は豊かであるから、必然的に海外へ行き、海外からも人も流入する。
③「伸ばすべき名古屋のまちの魅力」
・名古屋は住みやすく、産業が発達しており、働きやすいという魅力がある。
・名古屋のまちは満たされている要素もある。
・魅力を発信するツールとして、カジノがなり得る。
・サブカルチャーの大須の文化もあり、産業用ロボットも発達している。
・東京にあるものはすべて名古屋にもあるという素晴らしさを、再認識する必要がある。
・芸所名古屋という演芸文化も大切にしなければならない。
・名古屋の教育面は恵まれている。
・名古屋の地域資源や価値に気づいて、発信できるかということが重要である。
以上